ツバメ(燕)
概要
ツバメは、小型の鳥で、翼と尾は光沢のある黒色、腹は白色、額とのどは赤褐色をしています。
V字形の尾が特徴の渡り鳥です。家屋や岩の間に、泥でお椀型の巣を作ります。
表記:つばめ、燕、玄鳥、乙鳥
他言語での表記
英語 | swallow、martin | スワロー、マーティン |
イタリア語 | Rondine | ロンディネ |
スペイン語 | Golondrina | ゴロンドリーナ |
ドイツ語 | Schwalbe | シュヴァルベ |
フランス語 | hirondelle | イロンデル |
イメージや象徴
『考察事典』おすすめの一冊
日本全国に伝わる言い伝えや迷信を収集、項目ごとに分類した事典です。
「火事の前にネズミは逃げ出す」「桃を食って川に行くと河童にひかれる」など、日本全国に伝わる俗信を徹底収集した一冊です。
ツバメ(燕)には、「幸福」「商売繁盛」「家族」「円満な家庭」「帰郷」「素早い」「勤勉」「従順」「自由」などのイメージや象徴的な意味があります。
キリスト教・聖書におけるイメージ
ツバメは春を告げる渡り鳥で、3月25日に戻ってくると考えられています。
3月25日は、天使ガブリエルが聖母マリアにイエス・キリストの受胎を告げた「受胎告知」を祝う日です。
そのため、「受胎告知」の絵画では、象徴的にツバメが描かれることがあります。
日本におけるイメージ
ツバメは、春になると東南アジアを飛び立ち、夏の間は日本で子育てをします。秋になるとまた東南アジアに戻るために日本を離れます。
日本でも、ツバメは幸運を運ぶ「縁起の良い鳥」だと考えられています。
また、日本では「ツバメが巣を作ると商売が繁盛する」という言い伝えもあります。
ツバメと「商売繁盛」の理由は諸説ありますが、ツバメは天敵からヒナを守るために人通りが多い場所に巣を作ります。
そのため、「ツバメが巣を作る=人通りが多い(お客が多い)」ということで、商売繁盛の象徴とされる場合があります。
幸運、幸福
ツバメは春(日本では夏)の到来とともにやってくる鳥であり、春の訪れや新しい生命の象徴とされています。
そのため、ツバメは「幸運」や「幸福」をもたらす存在と見なされています。
近年では、オスカー・ワイルドの『幸福な王子』に登場するツバメが、ツバメの「幸運」「幸福」といったイメージをさらに強めました。
『幸福な王子』に登場する1羽のツバメは、冬を越すためエジプトに向かう群れから離れ、王子の像の代わりに町の人々に金や宝石を分け与えました。
家族、家庭的
ツバメは、毎年同じ巣に戻ってくることで知られています。
この帰巣本能という特性により、ツバメは「家族の絆」「円満な家庭」の象徴とされることがあります。
また、風水ではツバメは「幸運」や「繁栄」の他に、「家族の円満」も表すことがあります。
帰還、帰郷
ツバメは、毎年同じ巣に戻ってくることで知られています。
この帰巣本能という特性により、ツバメは「帰還」「帰郷」の象徴とされることもあります。
船乗りの間では、「安全に家(陸)に帰ることができる」象徴として、ツバメの入れ墨やタトゥーを入れる伝統もありました。
5,000海里(9260km)航行した船乗りは、ツバメのタトゥーを1つ入れ、10,000海里航行した船乗りはさらにもう1つツバメのタトゥーを入れることができた、という伝統もあったと言われています。
素早い
ツバメには「素早い」というイメージがあります。
ツバメは驚異的な飛行能力を持ち、普段は時速40kmほどで飛行しますが、餌を捕獲する際や天敵から逃れる際には、時速200km近いスピードで飛行することもあります。
また、1日に300km以上も飛ぶことが可能であり、これらの特性からツバメは非常に素早いというイメージが生まれました。
勤勉、従順
繁殖期のツバメは、日々巣作りや餌の確保に忙しく、効率的に行動します。
巣作りや子育てに非常に熱心で、オスとメスが交代で協力してヒナたちを育てる姿が観察されます。
このようなツバメの様子から、「勤勉」「熱心」といったイメージが生まれたと考えられます。
また、近年では、オスカー・ワイルドの『幸福な王子』に登場するツバメが、ツバメの「勤勉」「従順」といったイメージをさらに強めました。
自由、解放
素早いツバメのイメージから、ツバメが「自由」や「解放」と関連付けられることがあります。
ツバメをモチーフにしたシンボルは、「解放」の象徴として生まれました。
freeeという名前について
鳥の中でもツバメにしたのは、地球上で最速の鳥が「アマツバメ」と言われているのが理由です。ただし、のちにアマツバメはツバメとは異なる鳥の種類だとわかったという裏話もあります。
またツバメは、商売繁盛もたらす「益鳥」としての意味もあり、「解放」「速さ」「益鳥」の3つの理由で、freeeのシンボルとして使われ続けています。
ツバメは、スモールビジネスに携わる人を「自由」へと後押しするfreeeの象徴です。
関連作品
ツバメ(燕)が、モチーフやシンボルとなった作品を紹介します。
飛燕(楽曲)
米津玄師の楽曲。
NHKドラマ『虎に翼』の主題歌である『さよーならまたいつか!』の歌詞にもツバメが登場します。
ツバメ(楽曲)
YOASOBIの楽曲。
ミュージックビデオの最初のシーンに、『幸福な王子』のツバメと王子像が登場しています。
燕は戻ってこない(小説)
ツバメのひみつ(書籍)
ツバメの幸福(漫画)
関東の小さなヤクザ・猪名寺組に売られた少年・燕。
暴れる燕を構成員の砂塚が力ずくで押さえつけたことで、お互いの第一印象は最悪に。にもかかわらず、組長から下された命令は――
犬猿の二人が“家族”になるまでの、ハートフルストーリー。
私の愛したツバメ(漫画)
ツバメは、「愛人の男性」を意味することがあります。
主に、年上の女性の愛人になっている若い男性を指します。
初めて彼を見たとき、若菜は目を奪われた。
他人から聞くツバメは、「愛人」と噂されている。
”フツーじゃない” 自分とは別世界の人──のはずだった。
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