チョウ(蝶)

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概要

チョウは、昆虫の一種であり、美しい色彩や翅の模様で知られます。
幼虫は葉や花を食べ、成虫は花の蜜を吸って生活します。

表記:ちょう、ちょうちょ、チョウチョ

他言語での表記

英語butterflyバタフライ
イタリア語farfallaファルファッラ
スペイン語mariposaマリポサ
ドイツ語Schmetterlingシュメッタリング
フランス語papillonパピヨン
ギリシャ語Psycheプシュケ

イメージや象徴

『考察事典』おすすめの一冊

イメージ・シンボル辞典

神話、聖書、錬金術、紋章、文学などの観点から、「言葉」や「物事」のもつ象徴的意味とイメージをまとめた事典です。

今は忘れられた民間伝承の解説もあり、考察・参照におすすめの一冊です。

チョウ(蝶)には、「変化」「変身」「魂」「自由」「気楽さ」「優雅さ」「儚さ」「運命」などのイメージや象徴的な意味があります。

変化、変身

チョウは幼虫から成虫へと変態する姿が象徴的であり、「変化」や「成長」、「変身」などの象徴として捉えられます。
「人生の過程」や「成長過程」を表すシンボルとして使われます。

みにくいアヒルの子と同様に、チョウが幼虫から美しい成虫へと変化する様子は、シンデレラストーリーの象徴として用いられることもあります。

日本では、平安時代の平氏一門がよく用いた「揚羽蝶(あげはちょう)紋」という紋があります。
この紋には、チョウが天に向かって舞い飛ぶ様子や、幼虫から成虫へと変態する姿から、人生の高みを上っていく「立身出世」の意味も込められていると言われています。

魂、霊性

チョウは一部の文化や宗教において、魂や霊性の象徴としても捉えられます。
ギリシャ語でチョウは「プシュケ(プシュケー)」と言い、古代ギリシャ語で「息」という意味があり、転じて「生命」や「魂」を指します。

幼虫・蛹が「身体」、成虫のチョウは「魂」や「精神」だと考えられ、
チョウが幼虫から蛹を経て成虫へと変態する姿は、魂の永遠性や再生、輪廻転生などの象徴として解釈されることがあります。

アステカ文明でもチョウは死んだ戦士の魂の生まれ変わりであると考えられていました。
そのため、チョウが戦火や戦争と結び付けられることもあります。

自由、解放

チョウが空を飛ぶ姿は「自由」の象徴とされることがあります。
動きが遅く天敵に狙われやすい幼虫や、身動きができない蛹(さなぎ)の状態から、自由に空を飛ぶ成虫へと成長する様子は「不自由からの脱却」「抑圧からの解放」などを表すことがあります。

気楽さ、マイペースさ

ひらひら、ふらふらと飛ぶチョウの様子は、「気楽さ」や「マイペースさ」を象徴することがあります。

一方で、ハチ(蜂)は目的のものに向かって一直線に素早く飛ぶため、チョウとは対照的な生き物として象徴的に用いられることがあります。

美、優雅さ

チョウは美しい模様や鮮やかな色彩を持つことで知られており、「美」や「優雅さ」の象徴とされています。
チョウの美しい外見は、芸術や文学の表現にも頻繁に登場し、魅力的なシンボルとして用いられます。

また、ひらひらと舞うように飛ぶ様子は、見る人を翻弄させるような印象もあります。
ボクシングの名言で、モハメド・アリの「蝶のように舞い、蜂のように刺す」という言葉があります。

儚さ、弱弱しさ

成虫としてのチョウの寿命は比較的短く、数週間から数ヶ月程度しか生きることができません。
その短い寿命と、ひらひらと頼りなさげに飛ぶ姿、触れただけで崩れてしまうような翅の脆さから、「儚さ」や「弱弱しさ」の象徴とされることがあります。

日本の一部地域では、チョウの模様の着物を好む者は短命であるという迷信も残っています。

運命、運気

一部の文化では、チョウが現れることは運命の兆しや運気の変化を意味すると考えられています。
例えば、チョウが近くに場所に現れると、幸運や良い出来事が訪れる予兆とされることもあります。

チョウと運命を結びつけるイメージとして、「バラフライエフェクト(バラフライ効果)」という考えがあります。
カオス理論の一つで、微小な出来事が大きな影響を及ぼすことを指します。
アメリカ人気象学者の「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきは、テキサスで竜巻を引き起こすか」という問いに由来とする考えで、連鎖的に小さな変化が未来の結果を大きく変える可能性を表します。

キリスト教・聖書におけるイメージ

チョウは、キリストの誕生、死、復活の象徴とされることがあります。
そのため、イースター(復活祭)でも、チョウがシンボルとして用いられる場合があります。

関連作品

チョウ(蝶)が、モチーフやシンボルとなった作品を紹介します。

蝶(童話)

アンデルセン童話集(3) カラー版 現代に蘇る「洋古書」翻訳シリーズ

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アンデルセンの童話に「蝶」というお話があります。

とあるチョウが、可愛い花をお嫁さんにしようと考えます。
チョウは求婚の旅に出て、たくさんの花に出会いますが、高望みするチョウが気に入る花は見つかりませんでした。

年寄りになってしまったチョウは、最後に人間に捕まり、標本箱に入れられてしまいます。

綺麗に飾られ最初は気分が良いチョウでしたが、飼われることの居心地の悪さに気付きます。
「結婚もこのようにいいものではないかもしれない」とチョウは自らに言い聞かせますが、鉢植えの花から「情けない気休め」と言われてしまいます。

蝶々夫人(オペラ)

『蝶々夫人』(マダム・バタフライ)は、ジャコモ・プッチーニのオペラです。

長崎を舞台に、没落藩士令嬢の「蝶々さん」とアメリカ海軍士官ピンカートンとの恋愛と悲劇の物語です。

少年の日の思い出(小説)

ヘルマン・ヘッセが1931年に発表した短編小説。
中学校1年生の国語教科書に掲載されているため、日本では知名度の高い小説です。

少年時代の思い出や経験、家族や学校、友人との関係などが描かれています。

海をわたる蝶(書籍)

海をわたる蝶 (講談社学術文庫)

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蝶と人間の密接で意外な関係を描く一冊。

一分間に数千匹が移動するイチモンジセセリ、日本列島をさまよいながら生きるウラナミシジミ、外国から渡来する迷蝶。

蝶の不思議な生態と人間との関係を解明します。

チョウのはなし(絵本)

チョウのはなし: かしこくておしゃれでふしぎな、ちいさないのち

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世界におよそ2万種いるといわれるチョウは、外見も生態もさまざま。

旅をするチョウ、毒のあるチョウ、役に立つチョウ…と、自然界の知恵や不思議がいっぱいのチョウを、美しいイラストで紹介した知識絵本。

僕は君のために蝶になる(映画)

僕は君のために蝶になる

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2008年に公開された香港映画。

女子大生のエンジャは、みんなの憧れの的である男子学生のアトンに密かな恋心を抱いていた。

しかし、アトンには既にミス・キャンパスにも選ばれた恋人がおり、エンジャは思いを告げることができない。
エンジャは、アトンに対して無愛想な態度で接するようになる。

そんなエンジャの違った魅力に次第に惹かれ始めたアトンは、恋人と別れてエンジャを選び、二人は付き合うようになる。
しかし、その関係にはさまざまな試練が待ち受けていた。

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