クジャク(孔雀)

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概要

クジャクは、鳥類の一種で、鮮やかな羽根を持つ美しい鳥です。
繁殖や求愛の際には、オスのクジャクは飾り羽を広げて見せます。

他言語での表記

英語peacock(雄)ピーコック
イタリア語pavoneパヴォーネ
スペイン語pavo realパヴォ レア
ドイツ語Pfauプファウ
フランス語paonパン

イメージや象徴

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クジャク(孔雀)には、「不死」「美」「誇示」「繁栄」「孤独」「高慢」「虚栄」などのイメージや象徴的な意味があります。

キリスト教・聖書におけるイメージ

扇のように広げられた飾り羽は太陽を表し、神の象徴でした。

飾り羽の大きな目の模様は、神と見つめ合うこと、神と対面することを表します。

宗教画において、十字架や聖杯のそばに向かい合わせで描かれる2羽のクジャクは、復活や救いなどを表すとされています。

古代ギリシャ人は、クジャクの肉は死後も腐らないと信じていたため、クジャクは「不死」の象徴となりました。
初期のキリスト教はこの象徴主義を採用したため、多くの初期のキリスト教の絵画やモザイクにクジャクが描かれています。

イタリアのサン・ヴィターレ聖堂にある石棺

益鳥

クジャクは、雑食で毒ヘビや害虫などを食べることから「益鳥」(人や農産物などに良い影響を与える鳥類)であるとされています。
※ただし、クジャクは神経毒に耐性をもつと言われていますが、学術的に毒耐性が確認されたことはありません。

また、毒ヘビや害虫を食べることから、クジャクは人々の苦しみや邪気を取り除くとされ信仰の対象にもなりました。
このようにクジャクは毒に強いため「不死」の印象が強まったとも考えられます。

美、優雅さ

クジャクは美しい飾り羽を持ち、その鮮やかな色彩や美しい模様から、美と優雅さの象徴とされます。
特に、雄のクジャクは豪華な飾り羽を見せつけて、メスを引きつけるために美しさを競います。

自己表現、誇示

クジャクの飾り羽を広げる行為は、自己表現や誇示の象徴として解釈されることがあります。
雄のクジャクは美しい飾り羽で他の個体と競い合い、自身の存在や魅力を示すことで繁殖の機会を得ようとします。

豊かさ、繁栄

クジャクは多くの文化で豊かさや繁栄の象徴とされています。
その美しい羽と優雅な姿は、富や繁栄をイメージさせます。
特にインドの文化では、クジャクは富と吉祥の象徴とされ、寺院や宮殿の装飾や祭りで頻繁に使用されています。


神聖さ、神秘性

クジャクはいくつかの宗教や神話で神聖な存在とされています。
例えば、ヒンドゥー教では神々の乗り物としてクジャクが登場し、その神秘的な美しさに宗教的意味を見出されました。

孤独な美、孤独な才能

クジャクの美しさは、1羽でいる状態が最も際立ちます。
群れや他の個体と一緒にいる時よりも、孤立している時にその美しさがより一層輝くと感じられることがあります。

傲慢、虚栄

クジャクは、その美しさから「最も高慢な鳥」であるとされました。
クジャクが描かれる場合、「傲慢」「虚栄」「虚飾」などの象徴とされることがあります。

不自由

一般的にはクジャクに「不自由」なイメージはありませんが、大きく美しい尾羽によって飛行能力が制限されているため「不自由」をイメージさせる場合があります。
長い尾羽は空気抵抗が大きくなり、短い距離や低い高度を飛ぶことができますが、長い距離を飛ぶことは難しいとされています。

しかし、この特性は自然環境においてクジャクが適応してきた結果であり、美しく大きな尾羽は求愛行動で重要な役割を果たしています。
したがって、「不自由」というネガティブなイメージが用いられることはあまりありません。

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豆知識

孔雀女

中国では、都市部出身で比較的裕福な家庭で育った、傲慢で高飛車な女性のことを「孔雀女」と言います。
一人っ子政策の恩恵を受け、両親の愛情を一身に受けて経済的に苦労せず育ったため、恋愛においては男性の「経済力」よりも純粋な「愛情」を追求する傾向が強いとされています。

「孔雀女」の反対に、農村部出身で苦労した高学歴男性を「鳳凰男」と言います。
中国の特異な戸籍制度や社会制度、実家や親への孝行や恩返しの考え方によって、孔雀女と鳳凰男の恋愛・結婚は総じて悲劇的になりやすいとも言われています。

関連作品

クジャク(孔雀)が、モチーフやシンボルとなった作品を紹介します。

放蕩息子としてのレンブラントとサスキア(絵画)

Rembrandt, "Rembrandt and Saskia in the Scene of the Prodigal Son(1635)"
Rembrandt, “Rembrandt and Saskia in the Scene of the Prodigal Son(1635)”

レンブラント・ファン・レインの作品(1635年)。

『放蕩息子』にある場面になぞらえられて描かれました。
男性はレンブラント自身であり、女性は新妻のサスキアで、二人の奥にはクジャクが見えます。

この絵画については様々な解釈があり、クジャクは「美」や「愛」の象徴でもあるが、レンブラント自身の「虚栄心」や「傲慢さ」も象徴しているとされています。

孔雀のある静物(絵画)

Rembrandt, "Still Life with Peacocks(1639)"
Rembrandt, “Still Life with Peacocks(1639)”

同じくレンブラント・ファン・レインの作品(1639年)。

「戦争の勝利を祝うことは、人間の虚栄心を祝うこと」という考えが見えます。
戦争に興じる大人たちの虚栄心(クジャク)は脆く、少女は離れた場所でただ見つめる…。

この作品は、戦争産業や軍国主義への批判を込めて描いたとされています。
反対に、この直後に描かれたレンブラントの最も有名な作品『夜警』は軍国主義を称える作品であり、「レンブラントは火縄銃手組合の依頼によって嫌々ながら『夜警』を描いた」という説があります。

孔雀明王(像)

孔雀明王像(ギメ東洋美術館所蔵)
孔雀明王像(ギメ東洋美術館所蔵)

孔雀明王(くじゃくみょうおう)は、仏教の信仰対象である。

クジャクは、害虫や毒ヘビを食べることから、災厄や苦痛を取り除くとされ信仰の対象となりました。

孔雀(映画)

2023年に公開された韓国の映画。

家族や故郷の人々と絶縁しているトランスジェンダー女性のミョン。

性別適合手術をするための費用が必要な彼女は、賞金目当てにワッキングダンスの大会に出場するが、優勝できなかった。

そんな時、ミョンは父の訃報を受け、「四十九日の法要で伝統舞踊のソゴチュム(小鼓舞)を踊れば遺産を渡す」という父の遺言を知る。

クジャクのダンス、誰が見た?(漫画)

クジャクのダンス、誰が見た?

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2022年に公開された日本の漫画。

クリスマスイブの夜に起きた元警察官殺害事件。
容疑者は逮捕され、事件は終わったかのようにみえた。

しかし、殺された元警察官が娘に遺した一通の手紙で事件は再び動き出す。

クジャクの雄はなぜ美しい?(書籍)

クジャクの雄はなぜ美しい?

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2005年に公開された日本の書籍。

「自然淘汰ではどうしても説明できぬ」進化論者ダーウィンの悩みの種が、美しい羽を目いっぱい広げるクジャクの雄。

なぜか。「雄間競争」と「雌による選り好み」がその答えだが、この方面の研究が近年、急展開を見せた。

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