シンボルとモチーフは、文学や芸術作品などの表現手法でしばしば使用される概念ですが、それぞれ異なる意味を持っています。
このページでは、「シンボル」と「モチーフ」の違いについてまとめます。
image: Memento Mori, “To This Favour”, William Harnett, 1879
目次
「シンボル」とは
シンボルは、物事を象徴するもので、具体的なものやイメージを通じて抽象的な概念を表現するために使用されます。
例えば、バラは愛情や美を表すシンボルで、白い鳩は平和を象徴するシンボルとしてよく使われます。
文学や芸術において、登場人物、場所、物品などにも用いられます。
シンボルの例
- 十字架:キリスト教の象徴であり、救いや信仰、愛を表します。
- 白鳥:純粋さや美、永遠の愛を表すシンボルとされています。また、古代ギリシャ神話では、美の女神アフロディーテが変身したとされ、美の象徴ともされます。
- ハートマーク:恋愛や愛を表すシンボルであり、特にバレンタインデーなどのイベントで広く使われています。
「モチーフ」とは
モチーフは、作品において何度も現れる特定のテーマ、物、イメージ、言葉などのことを指します。
物語や詩、映画などで再び出現することで、その作品のテーマを強調するために使用されます。
モチーフは、作品の統一感を与え、読者に作品全体のテーマやメッセージを理解させる役割を持ちます。
例えば、『ハムレット』は「復讐」がモチーフであり、『羅生門』は「真実」がモチーフとなります。
モチーフの例
- 『ハムレット』(ウィリアム・シェイクスピア):復讐や狂気、死といったテーマが重要なモチーフとなっています。また、作中に登場する「骸骨」もモチーフとして扱われており、死や人生の意味を象徴しています。
- 『羅生門』(芥川龍之介):異なる4人の証言を通して、真実が何かを探る物語です。人間が客観的な真実を捉えることができず、自分の主観によって真実が変わってしまうことが描かれています。モチーフとしては、「真実」「貧富の差」「欲望」「道徳心」などが挙げられます。
「シンボル」と「モチーフ」の違い
シンボルは抽象的な概念を具体的なもので表現するためのものであり、モチーフは作品におけるテーマやイメージを強調するためのものです。