ワシ（鷲）

概要

鷲（ワシ）大型の猛禽類であり、主に北半球に生息する。
体長は70〜100cm、翼開長は約2mにもなり、非常に強力な爪とくちばしを持つ。

飛行力が非常に高く、鋭い視力を持っているため、高い山や崖の上から餌を探したり、水面から魚を捕ることができる。
狩りの際には、高空から獲物に急降下し、速度を利用して強烈な一撃を与える。
繁殖期には巣作りに非常に熱心で、卵を孵化させて雛を育てる。

ワシは古くから多くの文化において、勇気や力強さ、高潔さなどの象徴とされ、国旗や紋章に用いられてきた。

他言語での表記

英語	Eagle	イーグル
スペイン語	Águila	アグイラ
中国語	鹰	yīng
ドイツ語	Adler	アドラー

ことわざや風習

上見ぬ鷲（ことわざ）

「上見ぬ」とは、何事も恐れない様のこと。
大型の猛禽類であるワシは、他の鳥を恐れず、上からの襲撃に恐れる必要がないため例えられた。

Eagles do not breed doves.（ことわざ）

（直訳）ワシは鳩を産まない。
「捕食者であるワシは、非攻撃的なハトを産まない」から転じて「親が攻撃的な人物であれば、子も攻撃的な人物になる」と解釈される。 

天候の予測（風習）

日本の一部地域では、ワシが空を舞うと荒れた天気に、ワシが鳴くと風が吹き、土用にワシが村の近くで鳴くと冷害になるという言い伝えがある。

イメージや象徴

鷲（ワシ）は、「神の鳥」「ヨハネの持物」「王者」「国章・紋章」などのイメージや象徴的な意味があります。

神話におけるイメージ

神の鳥で、ゼウスやオーディンは変身の際にワシの姿になる。
古代北欧では風を意味し、地球の果てにる巨大な風鷲は、神々が没落する時に大きな鳴き声を出すとされた。

神話上では「男性の生殖能力」「父親」などの象徴とされ、ワシの姿になったゼウスがエウロぺを凌辱する話がある。
他にもワシは、アフロディーテに捧げれられた鳥、アルテミスに嫌われた鳥など、多く描写されている。

キリスト教におけるイメージ

ヨハネの持物。
ヨハネは、キリスト教の四福音書の一つ「ヨハネによる福音書」の著者とされている人物で、イエス・キリストの12使徒の一人であり、「愛の使徒」とも呼ばれる。
ヨハネは、新約聖書の他に、黙示録やヨハネの手紙なども著し、キリスト教において非常に重要な役割を果たしている。

持物（じもつ・じぶつ）とは
西洋美術におけるアトリビュート（attribute）のこと。
特定の神や聖人を象徴する、あるいはそれらを身に着けた姿で描かれたアイテムや動物、あるいは特定の行為や場面を表すものを指す。
具体的には、キリスト教の聖人たちがよく持っている様々なアイテム（聖具）が代表的。

王者のイメージ

大きな体躯とどう猛な気質から、鳥類の王者のイメージがある。

紋章・国章によく使用されるイメージ

西洋では古くからワシが王家の紋章として用いられた。
有名なものでは、13世紀のローマ帝国の「双頭の鷲」が挙げられる。
2つの頭を持つワシの紋章で、双頭は「西」と「東」の双方に対するローマ帝国の支配権を表した。

現在では、アメリカやメキシコが国章にワシを用いている。

また、ブランドロゴとしても人気のモチーフで、アルマーニや大正製薬などが用いている。

鷲目石（イーグルアイ）のイメージ

天然石の一種で、「未来を見通す石」と言われる。
その名の通り、ワシの目が遠くのものを捉えるように、物事を遠く離れた視点からでも冷静に見る力を与えてくれるとされている。
この石を持つことで、先を見通し、ビジネスの成功をサポートすることができるといわれている。

恐怖のイメージ

紋章や国章で重用されるほど人気のワシだが、美術では恐怖の対象として描かれている場合もある。
特に、ワシが人をさらう場面が描写されている《ガニュメデスの誘拐》が有名。

関連作品

鷲（ワシ）が、モチーフやシンボルとなった作品を紹介します。

ガニュメデスの略奪（絵画）

イーグル・アイ（映画）

ファイアーエムブレム 風花雪月（ゲーム）