ハリネズミ(針鼠)
概要
ハリネズミは、小型哺乳動物で、背中に鋭い針毛が生えています。
日本語では「ネズミ」と付きますが、実際には「モグラ」に近い動物とされています。
表記:針鼠、彙、はりねずみ
イメージや象徴
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ハリネズミには、「幸運」「勤勉で真面目な動物」「貪欲」「自己防衛」「警戒心」「控えめ」などのイメージや象徴的な意味があります。
ヨーロッパにおけるイメージ
ヨーロッパの多くの国で、ハリネズミは「勤勉で真面目な動物」であると考えられています。
「見ると幸運に恵まれる」と言われ、モチーフやキャラクターとしても人気です。
ヨーロッパの民間伝承では、賢いハリネズミが登場することがあります。
一方で、ハリネズミは、貪欲、暴食、憤怒の象徴であるという考えもあります。
中世ヨーロッパでは、ハリネズミは転がりながら自分のトゲに果物を突き刺して巣穴に持ち帰り、果実を独り占めして食べたり貯蓄したりすると考えられたためです。
古代ローマの大プリニウスが著した『博物誌』をはじめ、少なくとも13世紀以降の書物などには、ハリネズミが転がりながら果物を突き刺して巣穴に持ち帰る様子が描かれています。
現代でも、リンゴを背に乗せたハリネズミのイラストが描かれたりします。
しかし、実際のハリネズミは、自分のトゲに食物を突き刺すことも、巣穴に持ち帰って貯蓄することも、リンゴを食べることもないと言われています。
自己防衛
ハリネズミは危険を感じると体を丸め、棘を立てて身を守ります。
この特性から、ハリネズミは「自己防衛」の象徴とされます。
抵抗、警戒心
ハリネズミが体を丸めて自身を守る姿は、「抵抗」や「警戒心」の象徴とされる場合があります。
控えめな愛らしさ
ハリネズミは、一般的に「小柄で控えめな動物」と見なされています。
黒いビーズのような目と、常に微笑んでいるような表情はとても愛らしく、ペットとしても人気があります。
ハリネズミは小さく静かな動物であるため、 猫 や 犬 などのペットの持ち込みを禁止しているホテルでも、ハリネズミの同伴は許可する場合があります。
ヤマアラシと間違える
ハリネズミに馴染みがない文化圏では、ハリネズミはヤマアラシと間違えられることが多くありました。
ハリネズミとヤマアラシは、英語では次のように表します。
- ハリネズミ:hedgehog(ヘッジホッグ)
- ヤマアラシ:porcupine(ポーキュパイン)
特にアメリカでよく間違えられたため、今回はその一例を紹介します。
Bob Saves the Porcupines (Bob the Builder)
イギリスの子供向け番組『ボブ・ザ・ビルダー』でハリネズミを救う話がありますが、アメリカ版では「ボブ、ヤマアラシを救う(Bob Saves the Porcupines)」と変更されています。
このように、ハリネズミをヤマアラシと誤って表記してしまい、後から訂正・撤回されることが多々あったようです。
しかし、ヤマアラシに間違えられないハリネズミもいます。SEGAのソニックです。
ソニックのフルネームは「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」で、青いハリネズミのキャラクターです。
ソニックのゲームは全世界で7000万本以上売れ、「世界で最も知られたハリネズミ」として有名となりました。
ソニックは、ハリネズミに馴染みがない文化圏にハリネズミという存在を印象付けることに成功したキャラクターでした。
太陽
丸まったハリネズミが、光線が出た球体( 太陽 )と似ていることから、太陽の象徴として用いられることがありました。
「ハリネズミのジレンマ」とは
「ハリネズミのジレンマ」は、主に恋愛や対人関係で使われる概念です。
この概念は、冬に暖かさを求めて群がるハリネズミをイメージしています。
ハリネズミは暖かさを求めて仲間に近づきますが、お互いの鋭い棘が邪魔でくっつくことができません。
人は、相手との親密な関係を望んでいますが、自身の厄介な性質(性格、立場、言葉など)が相手を傷つけ、人間関係の構築を邪魔することがあります。
この「ハリネズミのジレンマ」は恋愛や対人関係において、適切な距離感やバランスを見つけることの難しさを表しています。
関連作品
ハリネズミが、モチーフやシンボルとなった作品を紹介します。
ハリネズミ(絵画)
ドイツの画家ハンス・ホフマンの作品(1584年)。
ルネサンス期の芸術家の中では珍しく、動物や自然を題材とした画家です。
ホフマンの動物画は、丁寧な模写や美しい筆致で大変人気です。
ティギーおばさんのおはなし(絵本)
ピーターラビットの生みの親・ベアトリクス・ポッターが描いた「洗濯婦のハリネズミ」のお話。
キティ・マクドナルドという名のスコットランド人の洗濯屋さんがモデルになっています。
ハリネズミの願い(絵本)
親愛なるどうぶつたちへ。きみたちみんなをぼくの家に招待します。
……でも、誰も来なくてもだいじょうぶです。
ある日、自分のハリが大嫌いで、つきあいの苦手なハリネズミが、誰かを招待しようと思いたつ。
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