ピエロ
概要
ピエロは、カラフルな衣装や化粧を身にまとい、人々を笑わせるエンターテイナーの一種です。
サーカスやイベントなどで活躍し、ジョークやマジック、バランス芸などを披露します。
特徴的な大きな靴や赤い鼻などで知られています。
イメージや象徴
『考察事典』おすすめの一冊
日本全国に伝わる言い伝えや迷信を収集、項目ごとに分類した事典です。
「火事の前にネズミは逃げ出す」「桃を食って川に行くと河童にひかれる」など、日本全国に伝わる俗信を徹底収集した一冊です。
ピエロには、「笑い」「悲哀」「反逆」「恐怖」「二面性」などのイメージや象徴的な意味があります。
笑い、喜び
ピエロは、カラフルな衣装や化粧、おかしな動作やギャグなどで、人々を笑わせて楽しませます。
ピエロは喜びや陽気さを象徴し、笑いを通じて「人々に幸せや楽しさをもたらす存在」として捉えられます。
悲哀、孤独
一方で、ピエロは悲しいイメージや孤独感を表すこともあります。
ピエロの明るい笑顔や陽気なパフォーマンスの裏には、内面的な悲しみや心の痛みが隠されているというイメージがあります。
ピエロは人々に笑いを与える一方で、自身は寂しさや哀しみに包まれている存在としても描かれることがあります。
個性
ピエロは、社会の規範や慣習に反するキャラクターとして描かれることもあります。
個性的な衣装やメイク、振る舞いで、他とは異なる存在(常識から外れた存在)として認識されます。
不安、恐怖
ピエロは、一部の人にとって不気味さや恐怖を感じさせる存在として描かれることもあります。
ピエロの奇妙な化粧や大げさな表情、予測不可能な行動は、不気味さや心理的な不安を引き起こす要素となることがあります。
このようなイメージは、一部のホラーやサスペンス作品などで利用されています。
狂気、破壊
ピエロの悪役キャラクターとして有名なものに、『IT』のペニーワイズや、『バットマン』のジョーカーがあります。
ピエロの明るい外見と陰鬱な内面のギャップや、狂気の表情や残酷な行為は、キャラクターの複雑さを強調しています。
反逆、アナーキー
ピエロは社会の規範や秩序に挑戦する存在としても描かれることがあります。
『バットマン』のジョーカーは、社会のルールに従わず、混乱や破壊をもたらす反逆者として描かれています。
隠された感情、二面性
ピエロは、周囲に対して本当の自分を隠している(偽っている)ようなイメージを持たれることもあります。
彼らの笑顔や陽気さの裏には、深層にある感情や内面の葛藤が存在しているとされます。
このようなイメージは、人間の複雑さや表裏のある感情を象徴するものとして捉えられます。
芸術性、独創性
ピエロはパフォーマンスやエンターテイメントの世界において、芸術や創造性を象徴する存在としても評価されています。
彼らの独特なメイクや衣装、舞台上での芸術的なパフォーマンスは、人々に創造的なインスピレーションや魅力を与えることがあります。
ピエロを恐ろしく感じる理由は?
物語や作品において、ピエロ(悪役のキャラクター)を恐ろしく感じる理由はいくつか考えられます。
予測不可能、不安定
ピエロは喜びや笑いを表現する存在として知られていますが、その笑顔の裏には不気味さや不安を感じさせる要素もあります。
ピエロの突飛な行動や不安定な性格などによって引き起こされる予測不可能な状況は、見る人に不安感を与えます。
実際の事件
ピエロに対する恐ろしいイメージが強くなった原因の1つに、1970年代にアメリカで起きた連続殺人事件があります。
ジョン・ウェイン・ゲイシー(John Wayne Gacy)という連続殺人鬼は、子供向けのイベントでピエロの仮装をすることが多かったため、「殺人ピエロ」という名で知られるようになりました。
6年間で30人以上の被害者を出した彼の犯行は非常に残忍で、世界中で注目を浴び、恐怖の対象となりました。
ピエロ恐怖症
ピエロを恐ろしく感じることは、恐怖症の一つとなっています。
「ピエロ恐怖症」は、ピエロに対する強い恐怖や嫌悪を感じる病的な心理です。道化恐怖症、コルロフォビアともいいます。
ピエロのカラフルな衣装で派手なメイク、不自然な程の笑顔のせいで「感情を読み取ることができない」ことが、恐怖の原因とされています。
関連作品
ピエロが、モチーフやシンボルとなった作品を紹介します。
ピエロの頭(絵画)
ルクセンブルクの画家ジョセフ・クッターの作品(1937年)。
ジョセフ・クッターは、写実主義、ポスト印象派、ミュンヘン分離派などから影響を受け、表現主義で前衛的な画家として有名になりました。
1935年頃にバラエティ番組でピエロを見たことがきっかけに、陽気なピエロを描いていました。
しかし、1936年頃からは自身か抱える重病に対する不安、苦しみなどを表す悲しい表情のピエロを描くようになりました。
スタンチク(絵画)
ポーランドの画家ヤン・マテイコの作品(1862年)。
華やかな宮廷舞踏会の舞台裏で、スタンチクが都市陥落の知らせを受け取った場面を描いています。
スタンチクはポーランドの歴史上最も有名な宮廷道化師であり、この悲壮感や孤独感を感じさせる表情は、当時の19世紀ポーランドの政治状況を表しています。
スタンチクはポーランド文化の重要な象徴であり、ポーランドの人々の誇りとなっています。
月に憑かれたピエロ(連作歌曲)
ベルギーの象徴派詩人であるアルベール・ジローの詩に、オーストリアの作曲家・シェーンベルクが曲付けしました。
叫び声のようなソプラノが特徴で、シェーンベルクの無調音楽が独特の世界観を作り出しています。
気狂いピエロ(映画)
JOKER
バットマンの宿敵としてゴッサムシティを常に混乱をもたらす道化師ジョーカーを知るための究極の1冊です。
往年の名作から最新作まで、ジョーカーが登場する作品傑作選を解説とともに紹介していきます。
ピエロの誕生(書籍)
1986年に発表された本。
サーカスに歌謡曲に、独特の哀感を漂わせるピエロ。
だが19世紀前半フランスで誕生したピエロの姿は、日本人に定着したイメージとは異なったものだった。
ピエロ役者ドゥビュローの生涯を軸に当時の民衆演劇を描く。
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