妖精(フェアリー)

目次

概要

妖精とは、ヨーロッパの複数の文化(ケルト、スラブ、ゲルマン、フランスなど)の民間伝承に登場する伝説的な存在で、人間のような姿をしています。

妖精に関する神話や物語は一つの起源を持つものではなく、さまざまな民間信仰から成り立っています。
妖精はしばしば堕天使や悪魔、異教の神々、死者の霊、先史時代の人類の先駆者、または自然の精霊と見なされることがあります。
妖精は特定の魔法の力を持つ人間の姿をした存在や、ゴブリンやノームなどの魔法の生物を指すこともあります。

イメージや象徴

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妖精には、「自然」「不思議」「幻想」「美しい容姿」「きまぐれ」「二面性」「誘惑」「歌や踊りを好む」などのイメージや象徴的な意味があります。

自然

妖精は、自然界と深いつながりを持つ存在として描かれます。
森や草原、水辺など豊かな自然の中で暮らす姿が描かれることが多く、「自然の力」や「自然の美しさ」を象徴することがあります。

不思議、幻想

妖精は不思議な存在として描かれることが多く、幻想的な世界や魔法の力を持つことが特徴です。
妖精は、人(現実世界)と神々(超自然的な世界)の狭間にいる存在であるとされます。

美しい容姿

妖精はしばしば美しい姿で描かれ、その美しさが強調されます。
人の容姿を「妖精のよう」と形容する際には、「幻想的な美しさ」「人々を魅了する愛らしさ」などを意味します。

一方で醜い姿で描かれる妖精もいます。

きまぐれ、悪戯好き

妖精は陽気で楽しい存在でありながらも、きまぐれで悪戯好きな性格というイメージがあります。

これは、民間伝承や神話において、妖精が悪戯を仕掛ける存在として描かれていることが理由です。
妖精は人間の物を隠したり、奇妙な夢を見せたり、旅行者を道に迷わせたりする話が多く伝えられています。

これらの物語に基づいて、妖精は遊び心がありながらも、しばしば人間にとって厄介な存在としてのイメージが定着しました。

二面性

妖精には「二面性」というイメージがあります。
これは、物語や伝承でしばしば善良で優しい側面と、いたずらや悪意を持つ側面の両方を持って描かれるためです。

妖精は人々に幸運や豊穣をもたらし、親切で助けになる存在として現れますが、他方で突然の気まぐれや悪戯、さらには人間を迷わせたり危険な状況に引き込んだりすることもあります。
この善悪両面の特徴が妖精の本質として描かれるため、妖精には「二面性」のイメージがあります。

人を誘惑する

妖精には「人を誘惑する」というイメージがあります。
多くの民間伝承や神話で、妖精が美しさや魅力を持ち、人間を惹きつける存在として描かれているためです。

妖精は美しい姿で現れ、甘い言葉や魅惑的な行動で人間を誘惑し、時には森や異世界へと誘う話が多くあります。
これらの物語では、人間が妖精の魅力に抗えず、危険な状況に巻き込まれることになります。

歌や踊りを好む

妖精に「歌や踊りを好む」というイメージがあります。
妖精たちが夜間や月明かりの下で円を描いて踊る姿や、美しい歌声で人々を魅了する姿は、古くからの民間伝承や詩歌に頻繁に登場します。
これらの描写が広く伝わり、妖精たちが楽しげに歌い踊る存在としてのイメージが定着しました。

貴族

西洋では、貴族が妖精の子孫だと主張することがありました。
妖精の血を引いていると主張することで、家系が古くから続いていること、特別な血統を持つこと、自分たちが特別な存在であり、神聖な力や正統性を持つことを示すことができました。

超能力

妖精が「超能力」の象徴とされることがあります。
妖精が魔法の力や不思議な能力をもっていることがあるため、「超能力」のようなイメージが定着しました。

また、人間でも妖精が見えること、妖精と意思疎通できることは、特別な能力だと考えられています。
妖精の声が突然聞こえるようになることや、夢の中で妖精に語りかけられることが、超能力の開花を表すことがあります。

関連作品

妖精が、モチーフやシンボルとなった作品を紹介します。

オーベロンとタイターニアの喧嘩(絵画)

The Quarrel of Oberon and Titania., Joseph Noel Paton, 1849

スコットランドの画家ジョゼフ・ノエル・ペイトンの作品(1849年)。

ウィリアム・シェイクスピアの喜劇『夏の夜の夢』の場面を描いており、妖精の女王ティターニアと妖精の王オーベロンが口論する場面です。

妖精の恋人たち(絵画)

The Fairy Lovers, Richard Dadd, c. 1840

イギリスの文学画家テオドール・リチャード・エドワード・フォン・ホルストの作品(1840年頃)。

ウィリアム・シェイクスピアの喜劇『夏の夜の夢』のティターニアとオーベロンが月明かりの下で踊っている場面。

つま先立ちの動き、花や虫の頭飾り、うねるように動く衣服、少し不気味な月光によって、幻想的な場面となっています。

オーベロンとタイターニアの喧嘩(絵画)

The Quarrel of Oberon and Titania., Richard Dadd, 1855 – 1864

イギリスの画家リチャード・ダッドの作品(1855 – 1864年)。

1843年に父親を殺害した後、精神病院に収監されていた時に描いた作品です。

レイヤー技法によって立体感を生み出し、細部まで精密に描いたこの絵は、完成まで約9年間かかりました。

妖精画家であるダッドの最高傑作だと評されていますが、ダッド自身はこの絵はまだ未完成だとみなしていました。


怖くて不思議なスコットランド妖精物語

スコットランド各地に昔から語り継がれてきた20の妖精物語を集める。

人に幻覚をかけたり、魔法をかける力をもっている妖精たち…。

空想や幻想を好み、想像力の豊かなケルト系民族によって生み出された精神的所産の数々。

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