車輪

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概要

「車輪」は、円環状または円盤状の構造で、軸の周りに回転することができる装置を指します。
通常は円形の周囲に等間隔で配置された突起(歯車)があり、これが他の機械部品と噛み合うことで動力や運動を伝える役割を果たします。

表記:車輪、ホイール、車軸、タイヤ、チャリオット

イメージや象徴

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日本俗信辞典

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「火事の前にネズミは逃げ出す」「桃を食って川に行くと河童にひかれる」など、日本全国に伝わる俗信を徹底収集した一冊です。

車輪には、「運命」「連続」「循環」「輪廻」「時間」「進歩」「女性」などのイメージや象徴的な意味があります。

キリスト教・聖書におけるイメージ

エゼキエルの幻視

copy by unknown artist after illustration by Matthaeus (Matthäus) Merian the elder (1593-1650), 1670

「エゼキエルの幻視」は、旧約聖書の預言者エゼキエルによる神秘的な経験を描いたもので、主に『エゼキエル書』に詳述されています。

エゼキエルはバビロン捕囚時代の預言者で、神のメッセージを捕虜のユダヤ人たちに伝えました。
彼の幻視には生き物の姿をした四つの生ける者や車輪の中に輝く神の栄光が象徴的に描かれ、特に「車輪の中の車輪」は有名です。
この幻視はエゼキエル書1章から10章にかけて記述され、神の懲罰や再建、神聖な計画に関するメッセージが含まれています。

エゼキエルの幻視は聖書の中で複雑で独特な一節であり、神の神聖性や栄光を理解しにくい概念を象徴的に表現しています。

アレクサンドリアのカタリナ

Saint Catherine of Alexandria Edit this at Wikidata, Caravaggio, 1598

聖カタリナ・アレクサンドリア(Sancta Catharina Alexandrina)はキリスト教の聖女で、「壊れた車輪」が彼女の象徴の一つです。

伝説によれば、カタリナは車輪に縛り付けられて裂かれる拷問を受けましたが、カタリナが触れると車輪が壊れ、最終的に斬首されました。
他にも、天の使いが車輪を壊し、その破片が周りにいた4000人の異教徒を殺したという伝説も残っています。

この象徴的なエピソードは「カタリナの車輪」として知られ、多くのキリスト教会で聖カタリナの祝祭日が祝われます。
カタリナの象徴は多岐にわたり、車輪は苦難と信仰を象徴していると言われています。

運命

ロタ フォルトゥナエ

Illustration by Jean Miélot to Christine de Pizan’s Epitre d’Othéa; Les Sept Sacrements de l’Eglise, c. 1455 at Waddesdon Manor

「Rota Fortunae」(運命の車輪)は、中世ヨーロッパの文学や美術で頻繁に取り上げられたテーマで、運命や人生の変転を象徴的に表現しています。

車輪は、人生の上昇と下降、栄光と失敗、幸運と不運などの人生の移り変わりを表し、四半期ごとに回転することで人生の変化を描きます。
この象徴性は中世の哲学や宗教、文学、美術において幅広く取り入れられました。

主に、目隠しされた女性と大きな車輪、車輪に縛り付けられた4人の男が描かれます。

タロットの「運命の輪」のカードでも、同様の構図(大きな車輪に縛られた人間)が見受けられます。

連続性、循環性

Mural of the Wheel of Life (Trongsa Dzong) in Bhutan

車輪は「連続」や「循環」を象徴します。
例えば、時間の経過や周期性、季節の流れなどを表現するシンボルとして捉えられます。

車輪は「サンサーラ」(インド サンスクリット語で「輪廻」を意味する)の象徴としても使用されています。

時間

「時間は円環的である」という時間概念の考え方から、円環状または円盤状の構造の車輪は「時間」を表すことがあります。

進化、進歩

車輪は「進化」と「進歩」を象徴することがあります。
自動車や工業の発展といった側面で、車輪は現代社会や技術の進歩を象徴するアイコンとなっています。

翼のある車輪は「進歩」の象徴であり、パナマの国章、オハイオ州高速道路パトロールのロゴ、タイ国鉄のロゴなど、多くの紋章やロゴで見受けられます。

女性

車輪が「女性」を象徴する場合があります。
これは、かつて女性の仕事だった「糸をつむぐ」ために必要な糸車(車輪)から連想されるものです。

関連作品

車輪が、モチーフやシンボルとなった作品を紹介します。

車輪の下(小説)

車輪の下

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