ここから先はあの世…異界の境界を象徴するアイテム

日常生活の中でふと感じる不思議な場所や物が、実は「この先は異世界に続いているかもしれない…」と考えたことはありますか?
世界中の神話や伝説、民間信仰には、現世と異界をつなぐアイテムが数多く登場します。
これらの象徴的なアイテムを通じて、私たちは目に見えない世界とのつながりを感じ取ることができます。

このページでは、「異界の境界」を象徴するアイテム(モチーフやシンボル、メタファーなど)についてまとめます。

image: Isle of the Dead, Arnold Böcklin, 1880

『考察事典』おすすめの一冊

日本俗信辞典

日本全国に伝わる言い伝えや迷信を収集、項目ごとに分類した事典です。

「火事の前にネズミは逃げ出す」「桃を食って川に行くと河童にひかれる」など、日本全国に伝わる俗信を徹底収集した一冊です。

目次

「異界」とは

「異界」とは、現実の世界とは異なる次元や存在領域を指す概念であり、異世界、常世、冥界、霊界、幽世、隠り世、魔界、地獄などさまざまな名称や形態で表現されます。

これらの異界は、しばしば死後の世界や神秘的な存在が住む場所として描かれ、現世とは異なる法則や現象が支配する世界とされています。
異界は、神話、伝説、宗教、文学、ファンタジーなどの中で、人々の想像力や信仰に基づいて描かれることが多く、しばしば現世との境界や移行の象徴としても用いられます。

異界異世界、常世、冥界、霊界、幽世、隠り世、魔界、地獄など

「異界の境界」を象徴するアイテム

「異界の境界」を象徴するアイテムには、「ヘビ」「鳥」「枯れた植物」「綺麗な植物」「川」「船」「黄昏」「霧」などがあります。

ヘビ

ヘビは古代から神秘的なシンボルです。
泉鏡花の『高野聖』では、草むらに頭と尾を入れて横たわるヘビが登場します。
そのヘビの上をまたいでしまったことで、異界に踏み入れることになります。

高野聖 (角川文庫)

高野聖 (角川文庫)

泉 鏡花
410円(11/21 17:54時点)
発売日: 2013/06/25
Amazonの情報を掲載しています

鳥は魂を運ぶ存在とされることがあり、あの世と現世の間を飛び交う存在として象徴されます。
そのため、凶兆を象徴するカラスフクロウがいる先に進むと異界が広がっていた…という描写があります。

枯れた植物

枯れた植物は生命の終わりを象徴します。例えば、しだれ柳の木は死者の国の象徴です。
しだれ柳の木が現世とあの世の境界を表すことがあります。

美しい植物

時が止まったように綺麗なままの花や季節外れの植物があの世と現世の境界を象徴する場合があります。
これらの植物は、現実の法則を超越して存在するかのような印象を与え、異界とのつながりを感じさせます。
例えば、冬に咲くはずのない花が突然現れたり、枯れることなく美しさを保ち続ける花は、時間や季節の流れを無視して存在するため、異界の力が働いていると信じられることがあります。

川(三途の川)

三途の川は仏教の教えにおいて、死者が渡る川であり、現世とあの世を分かつ象徴的な存在です。

海や泉に浮かぶ船は、乗った者を異界へ運ぶものとして登場することがあります。
また、船が死者をあの世へ運ぶ棺桶のように描写されることがあります。

黄昏

黄昏は昼と夜が交わる時間帯であり、現実と幻想が入り混じる時間として、あの世と現世の境界を象徴します。

霧や霞は視界を遮るため、現実と非現実の境界を曖昧にし、あの世と現世の境界を象徴します。
突然、霧が現れ視界が悪くなり、霧を抜けた先には異界が広がっていた…という描写があります。

門は異世界への入り口として多くの神話や伝承で登場し、あの世と現世を隔てる境界として象徴されています。
冥界の門や地獄の門などが有名です。

坂(黄泉平坂)

黄泉平坂(よもつひらさか)は日本神話において、現世とあの世を隔てるです。
生者と死者が交わることのない境界として象徴されています。

トンネル

トンネルは、現世とあの世をつなぐ象徴としてよく使われます。
トンネルを通り抜けることは、別の世界や状態への移行を意味し、現実から霊的な世界への移行や転生の象徴として描かれます。

しめ縄

しめ縄は、神聖な領域と現世を区切るための象徴的なアイテムです。
神社やご神木、神棚に用いられ、神聖な領域である「常世(とこよ)」と、私たちが住む「現世(うつしよ)」を分ける印となります。
しめ縄によって作られる境界は、神域に不浄なものが入り込むことを防ぐ役割を果たし、神様が宿るご神体を守る意味も持ちます。
しめ縄は、清らかさと神聖さを象徴し、神域と現世の境界を明確に示すものとして重要な役割を担っています。

サイレンの音

サイレンの音は、異界への境界を象徴するアイテムとして強く印象づけられています。
ホラーゲーム『SIREN』では、8月3日0時に羽生蛇村が「赤い水」に包まれ、サイレンの音が不安感を煽り立てる場面が描かれています。
このサイレンの響きが、現世と異界との間に存在する境界線を示す重要な要素となっており、村全体が異界へと引き込まれる出来事の開始を告げるものです。

このようにサイレンのの音が響くことで、異界へ移行する(異界へ入る)象徴とされます。
サイレンの音が持つ不気味さや異常性が、現実と異世界との間にある「境界」を強調する効果があるためです。
他にも、サイレンの音は緊急事態や警告を示すことから、異界への入り口が開かれたことを知らせる役割も担っています。

他にも「異界の境界」を象徴するアイテムを見つけたら、このページに追加していきます。

まとめ

異界と現世の境界を象徴するアイテムは、古代から現代に至るまで人々の信仰や文化に深く根付いています。
これらのアイテムを知ることで、私たちは先人たちの世界観や死生観を理解し、また日常の中に潜む神秘的な側面を再発見することができます。

ぜひ、自身の周りの風景や物に目を向け、その中に潜む異界の境界を感じてみてください。
それが、私たちの生活に新たな視点や深みをもたらしてくれるかもしれません。

異界と日本人 (角川ソフィア文庫)

異界と日本人 (角川ソフィア文庫)

小松 和彦
836円(11/21 17:54時点)
Amazonの情報を掲載しています
ルポ 日本異界地図

ルポ 日本異界地図

風来堂, 宮台真司
1,584円(11/21 17:54時点)
発売日: 2024/01/05
Amazonの情報を掲載しています

考察メモ

コメントする

コメントする

当サイトでは、皆さまからのご意見や情報提供をお待ちしております。
象徴的な意味に関する皆さまの知識や感じたイメージ、または関連する作品について、ぜひコメント欄でお聞かせください。

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約が適用されます。

CAPTCHA


目次