祈る

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概要

祈るとは、崇拝の対象との信頼関係を活性化しようとする意図的なコミュニケーションであり、神や神格化された祖先に対する嘆願やとりなしの行為を指します。
感謝や賛美など祈りは様々な形があり、典礼や儀式、一人で行ったり、団体で行ったりします。

祈るという行為は約5,000年前から文書で証明され、今でもほとんどの宗教に取り入れられています。

古代では、手を上げて行うことが主流でした。
初期キリスト教の祈りも、両腕を広げて立ち、天を仰ぐものでした。

中世ヨーロッパでは、ひざまずく姿勢(または仰向けの姿勢)で手を組むことが一般的になりました。

「ひざまずく姿勢」は封建制(国王・領主・家臣など階層的主従関係による統治形態)への敬意の表れと考えられています。

表記:いのる、祈り、いのり、願う、拝む、祈祷

祈りのポーズ

The Angelus, Jean-François Millet, 1857-1859

祈るポーズには、「静止する」「目を閉じる」「手を合わせる」「頭を下げる」「ひざまずく」などがあります。

静止する・直立姿勢

祈る際には静かに立ちながら行うことがあります。
直立の姿勢は、神聖な場での祈りや礼拝において一般的です。

目を閉じる

瞑想や集中を深めるために目を閉じることがあります。
目を閉じることで、外部からの刺激を遮断し、内面に向かって集中を深めます。

手を合わせる・手を組む

祈る際に、手を合わせるか組むことがあります。
手を組むことで、内向きの精神集中(心の中で懸命に祈っていることなど)を表します。

頭を下げる

祈りの際、頭を下げることで謙虚さや敬意を表し、神に対する畏れを示します。
神聖な存在の前で自己を謙虚にし、神の尊厳を認識する意図が込められています。

ひざまずく・土下座

神聖な存在に対する謙虚な態度を表すため、祈りの中でひざまずいたり、土下座することがあります。
神への敬意を示す行為であり、深く信仰していることを象徴しています。

歌う

歌や賛美歌を通じて、感謝や賞賛の気持ちを表現することがあります。
グループで歌うことで、音楽を通じて神聖な存在に対する祈りや喜び、感動を分かち合い、一体感を得る手段にもなります。

舞う

宗教的な儀式や祭りでは、舞踏を神に捧げることがあります。
舞いを通じて神聖な存在に心身を捧げ、感謝や祈りを表現します。

唱える

口頭で神への思いや感謝を言葉に託して表現することも、祈りの一形態であるとされています。
特定の祈り文や聖典を唱えることで信仰を深めます。

文字にする

祈りの言葉を書き留めることがあります。
個人的な祈りの場合は、書き留めたものを誰にも見せずに保管することがほとんどです。
偉大な人物が書き留めた祈りは、家族や弟子の手によって神聖な文章として残されている場合があります。

物を作る

祈りを込めて物(小物、オブジェ、建造物など)を作ることがあります。
祈りが込められた物は、個人で大切に保管されたり、神に捧げられたりします。

指を使ったジェスチャー

宗教や文化によって異なりますが、特定の指のポーズやジェスチャーを使って祈ることがあります。

水に触れる

特定の宗教や信仰体系では、祈りの一環として水に触れることがあります。
これは浄化や清めの儀式の一部として行われることがあります。

神聖な場所を訪れる

特定の神聖な場所や寺院、教会、モスクなどを訪れ、その場で祈ることがあります。
巡礼も含まれます。

ろうそくを灯す

祈りの際にろうそく(キャンドル)を灯すことがあります。
キャンドルの光は神聖なもので、神秘的な空間を演出します。
炎を見つめることで、心が静まり、祈りに集中しやすくなります。

祈りに関する研究

Old Flanders, Theophile Marie Francois Lybaert, 1915

祈りに関する研究をいくつか紹介します。

注意

祈りに関する研究は多岐にわたり、その効果についてさまざまな結果が発表されています。

ただし、祈りに関する研究そのものに対して、反対の意見もあります。
「あなたの神、主を試してはならない」(マタイ4:7)という言葉を引用し、祈りは検証できない、あるいは検証すべきではないという主張もあります。

一部の研究結果は信憑性がない可能性があり、祈りの効果についての科学的な結論が一致しているわけではありません。予めご了承ください。

フランシス・ゴルトンの統計実験

1872年、フランシス・ゴルトン(イギリスの人類学者、統計学者、探検家、初期の遺伝学者)は、祈りの効果に疑問を投げかけるために統計実験を実施しました。

この実験は、祈りが外部環境に物理的な影響を与えるかを検証するために行われ、「多くの人々は健康のために祈っている」と仮定し、祈りが効果的であれば英国王室のメンバーは長生きするとの仮説を立てました。

しかし、英国王室の長寿と一般国民の長寿を比較した結果、差異は見出されませんでした。
この実験は、当時の「祈りによって健康になる」という考えを風刺する目的で実施されたと言われていますが、祈りに関する研究が注目されるきっかけとなりました。

カトリック学校とプロテスタント学校に通う生徒を対象とした研究

2008年、レスリー・J・フランシス、マンディ・ロビンスらによって発表された研究では、「アイゼンクの特性論(神経症傾向と精神病傾向に基づく人格モデル)」を使用して、生徒が自己申告した祈りの頻度に基づいて、生徒の精神健康を評価しました。

カトリックとプロテスタントの学校に通う生徒の両方において、より頻繁な祈りと低い精神病傾向のスコアとの関連が見られました。
つまり、祈りの頻度が高いほど、生徒の精神的な健康が向上しているという結果になりました。

しかし、カトリック学校に通う生徒の中では、祈りの頻度が高いと神経症傾向のスコアが高くなる傾向もありました。
この研究でも、祈りと健康の因果関係を見出すことは難しいと結論づけています。

アンドリュー・ニューバーグの研究

2009年頃、アンドリュー・ニューバーグ(アメリカの神経科学者)は、宗教指導者に脳スキャンを実施しました。
スキャン結果によると、僧侶、司祭、修道女、シスターなどの脳には、他の人々にはない「集中力と慈悲を司る器官」を発見できたそうです。

祈りや悟りに関する著書を発表しているため、気になる方がぜひ読んでみてください。

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1918年の初版刊行から約100年、「祈りに関する研究で本書に言及しないものはない」と言われる本。

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