フィオナ(Fiona)
概要
フィオナ(Fiona)は、ゲール語で「白い、色白い(少女)」を意味する名前です。
イメージや象徴
『考察事典』おすすめの一冊
英語圏で使われる約1800の人名を収録した事典です。
ギリシア語、ラテン語、ヘブライ語、ケルト語、ゲルマン語などかあら、その人名の歴史を探究します。
人名の由来や意味について調べる際におすすめの一冊です。
フィオナ(Fiona)には、「白」「公正」「美しく繊細な名前」などのイメージや象徴的な意味があります。
白い
フィオナは、ゲール語で「白い、色白い(少女)」を意味する名前であるため、白のイメージがある。
公正
白という色のイメージから、潔白や公正さを表す名前であるという見方もある。
詩人が作った名前
フィオナは、1760年頃にスコットランドの詩人ジェイムズ・マクファーソンによって考案されたと名前であるとされる。
ジェイムズ・マクファーソンは、盲目詩人オシアンが作った英雄譚『オシアン』が見つかったと発表し、英訳して作品として出版していた。
当時、イギリスをはじめやヨーロッパでたいへんな好評を博し、ナポレオンやディドロも熱心に読んだとされる。
Mourn, ye sons of song, mourn the death of the noble Sithallin. Let the sighs of Fiõna rise, on the lone plains of her lovely Ardan.
Poems of Ossian, Fingal, Book 1
このフィオナは人間ではなく、女性に擬人化されたもの(詳細不明、妖精や精霊の類)だと考えられる。
フィン・マックール
先述の『オシアン』には、アイルランドの英雄フィン・マックールをモデルとした、フィンガル(金髪の者、白い異邦人)というキャラクターが登場する。
フィン・マックールの戦士は、兵士、戦士、英雄などを意味する「フィアナ(Fianna)」と呼ばれていた。
『オシアン』のフィオナは、フィンガルにフィン・マックールを印象付けるため、このフィアナから名付けれたという説もある。
よって、『オシアン』のフィオナは、ケルト人の誇り、独立心、闘争心などを表すとも考えられる。
ウミウシ
フィオナは、ウミウシの一種の名前に用いられている。
ヒダミノウミウシの英名が「Fiona pinnata(フィオナ・ピンタナ)」である。
先述の『オシアン』のフィオナに由来するとされる。
古風な名前
フィオナという名前は、1954 年にブロードウェイミュージカル『ブリガドゥーン』で取り上げられてから米国で広まった。
『ブリガドゥーン』は、100年に1日だけ現れる神秘的な村ブリガドゥーンで、運命的な出会いをする恋愛物語。
アメリカ人観光客の一人であるトミーは、ブリガドゥーンの若い女性フィオナに恋をする。
『ブリガドゥーン』によってフィオナの名前は一世を風靡する。
しかし、1977年のコリーン・マッカロー『いばらの鳥』で同じくフィオナというキャラクターが登場した時には、フィオナの名前の人気は既に下火になっていた。
フィオナは、1950年代に人気キャラクターの名前であり、現代ではやや時代遅れな名前となっている。
近年では、フィオナは、映画『シュレック』のフィオナ王女と関連付けられることが多くなっている。
美しく繊細な名前
やや古風で時代遅れな名前のイメージがあるが、フィオナという名前は、魅力的な文学史やキャラクター性を持ち、美しく繊細な名前としてのイメージも根強くある。
関連作品
フィオナ(Fiona)が、モチーフやシンボルとなった作品を紹介します。
フィオナの海(小説)
原題 “Child of the Western Isles” は、1957年に発表された小説。
アイルランドに伝わるアザラシ乙女の妖精(セルキー)の伝承をもとにした物語。
フィオナが、アザラシに連れ去られた弟を取り戻すまでのお話。
1994年に映画化もされた、感動の一冊。
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