リンゴ(林檎)

目次

概要

リンゴは、バラ科リンゴ属に属する果物で、世界中で栽培されている。品種は数千以上あると言われています。
リンゴは紀元前から栽培されており、日本では平安時代の書物に記述されています。

表記:りんご、林檎

他言語での表記

英語appleアップル
イタリア語melaメーラ
スペイン語manzanaマンサナ
ドイツ語Apfelアップフェル
フランス語pommeポム

イメージや象徴

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リンゴには、「美しさ」「若々しさ」「知恵」「誘惑」「禁断」「悪」「愛」「不死」などのイメージや象徴的な意味があります。

一般的なイメージ

リンゴは一般的には「美しさ」や「若さ」の象徴とされます。
英語の慣用句で、「An apple a day keeps the doctor away(リンゴを毎日一つ食べると医者いらず)」という言葉があります。

また、「リンゴの木の下で寝ると、若さを保てる」という伝説も残っています。

キリスト教・聖書におけるイメージ

旧約聖書の「創世記」に登場する「知恵の実」として有名で、アダムとイブが神に背いて食べた禁断の果実として描かれています。
そのため、リンゴは「知識」「知恵」「誘惑」「禁断」「堕落」「罪」の象徴とされます。

また、ラテン語でmalun(もしくはmalus)は「リンゴ」「罪」という2つの意味があり、聖書内で混同されたことから、悪いイメージを持つようになったとも考えられます。

絵画においてキリストが持つリンゴは、キリストによって征服された悪を意味します。
リンゴの木の下にいる幼いイエスは、全人類の罪の代価を払う贖い主としての将来を暗示します。

Lucas Cranach the Elder,”Virgin and Child under an Apple Tree(1530s)”

ただし、新約聖書ではリンゴが「秋の実り」「収穫」の象徴とされる場合もあります。

ギリシャ神話におけるイメージ

ギリシャ神話におけるリンゴは、様々な意味を持っています。

「ヘスペリデスの園の黄金のリンゴ」は、ガイアがゼウスとヘラの結婚祝いに贈った黄金のリンゴです。
ヘスペリデスの園にそのリンゴの木を植えられ、竜のラドンによって守られています。
英雄ヘラクレスはラドンを倒しその「不死をもたらす黄金のリンゴ」を手に入れますが、エウリュステウスによってすぐに取り上げられてしまいます。
「ヘスペリデスの園の黄金のリンゴ」は、「不死」と「不死を得ようとする人間の無駄な試み」を象徴します。

俊足の女狩人アタランテの物語では、リンゴは「愛欲」「貪欲」「利己的」「注意散漫」を象徴します。
オウィディウスの『変身物語』によれば、アタランテは自分と競走して勝った者と結婚すると言いました。
アタランテに恋したヒッポメネスはアプロディテの助けを借りて3つの黄金のリンゴを得て、それを競走中に使ってアタランテの注意を逸らし勝利しました。

最も有名な「黄金のリンゴ」である、不和の女神エリスが引き起こしたトロイ戦争の原因となった黄金のリンゴは、「虚栄心」「競争」などを象徴します。

全体として、ギリシャ神話におけるリンゴは、人間の欲望や欠点を強調し、神々の世界と人間の世界の間にある特別な果物を示しています。

愛、恋

紋章で用いられるリンゴには「愛」「回春」「生命力」などのイメージがあります。

また、昔の恋占いの1つとして「リンゴ食い競争」があります。
複数のリンゴを水桶に浮かべ、その中からリンゴを1つ選んで口でくわえる。そのリンゴの持ち主が恋の相手となります。
これは、ハロウィンパーティーで親しまれるアップルボビング(Apple Bobbing)に似ています。

不死

ギリシャ神話では、「神の食べ物」「食べると不死になる」という生命の樹になる黄金のリンゴが登場しますが、中国でもリンゴは「不死」に加え「平和」という意味があるため、安全に旅行したい方への贈り物(安全祈願の贈り物)として用いられることがあります。

死に関連することから、魔術においてリンゴは「予言者や死者の食べ物」として登場することもあります。

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豆知識

「リンゴ」が中傷の言葉になることも

北アメリカ(特にネイティブアメリカンの間)では、文化や伝統、アイデンティティを失った人を「リンゴ」と中傷する場合があります。

これは、「外見的特徴はネイティブアメリカンだが、文化やアイデンティティは異なる人」をリンゴ(皮は赤いが中身は白い)で例えています。

リンゴの木で船を造るな

航海の神話と迷信をまとめたジョナサン・アイアーズの著書によると、ヨーロッパでは棺の木材としてリンゴの木が使われることがあったため、船大工の間ではリンゴの木で船を造ることは不吉とされていたと記されています。
ただし、リンゴの木は比較的柔らかく軽いため、家具や木工製品に使用されるが、棺材として使われることはほぼないと考えられています。

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関連作品

リンゴが、モチーフやシンボルとなった作品を紹介します。

三美神(絵画)

The Three Graces, Raffaello Santi,1504

イタリアの画家ラファエロ・サンティの作品(1504年)。

三美神は優雅さと美の化身であり、女神の従者である。

芸術において、三美神はヴィーナスの侍女であり、リンゴ、バラ、ギンバイカ、サイコロなど、ヴィーナスを表すものと描かれることが多い。

パリスの審判(絵画)

Judgement of Paris, Peter Paul Rubens,1632-1635

バロック期のフランドルの画家・ピーテル・パウル・ルーベンスの作品(1632-1635年)。

テティスとペーレウスの結婚を祝う宴席には全ての神が招かれたが、不和の女神エリスだけは招かれなかった。

エリスは怒り、宴席に「最も美しい女神へ」と書かれた黄金のリンゴを投げ入れた。

このリンゴは、のちのトロイア戦争を引き起こした原因の一つとして「不和のリンゴ」という悪いイメージがある。

人の子(絵画)

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ベルギーのシュルレアリスム画家ルネ・マグリットの作品(1964年)。

マグリットの自画像であり、青リンゴに顔が隠された男が立っている。
よく見ると、リンゴの端から男の目がこちらを覗いており、男の左肘が曲がっているように見える。

マルグリットは「隠されている物を見てみたい」という人間の心理を突いた作品だと述べた。

林檎の樹(小説)

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『林檎の樹』(The Apple Tree)はイギリスのジョン・ゴールズワージーの小説。
1916年に出版された。

20世紀初頭のイングランドで起こる、農民たちの悲しい物語を描いた作品で、林檎の樹はこの物語において重要なシンボルとなっており、物語の中で何度も登場する。

白雪姫

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『白雪姫』(Snow White and the Seven Dwarfs)は、ドイツの民話が元になって生まれた童話とされる。

リンゴが物語のキーアイテムになる。

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