はじめに
イラストACは、多くのクリエイターが利用する日本のイラスト投稿サイトです。
近年、イラストACではAI(人工知能)によって生成されたイラストが投稿されています。
このイラストACの現状について、ダウンロードユーザーとして思うところがあったため、備忘録として書き残したいと思います。
- インハウスデザイナー
- デザイン業務は未経験から始めた新米のため、デザインや法律に関する知識は少ない
- イラストACはダウンロードユーザーとして利用中
現在、AIイラスト(AIによって生成されたイラスト)に関する議論が多く展開されていますが、
今回は、イラストACにAIイラストが投稿されている件に限定して書きたい思います。
2023年5月27日更新
イラストACに、AI生成イラストをフィルタリングする機能が追加されました!
イラストACのクリエイターは、AI生成ツールを使用して作品を作成した場合、
- AI(人工知能)を使用にチェック
- 使用したAIツールのURLを入力
- 自分で著作権を保持している作品のみ
などが必須条件となりました。
『イラストAC』とは
イラストACは、日本発の「日本人」が利用しやすいイラストを
無料でダウンロードしていただけるフリー素材サイトです。
イラストAC
2011年にリリースされ、総会員数1000万人を突破したフリー素材サイトです。
素材数は270万以上あり、1700社以上の会社でも利用しています。
最近では、ACワークス株式会社が大阪市港区役所と連携協定を締結(2023年4月4日)して話題になりました。
イラストACの特徴として、ダウンロード無料、クレジット表記不要、商用利用可、編集・加工可などが挙げられますが、
個人的に、1番大きな特徴は、
クリエイターは、イラストの著作権をすべて譲渡する。
ただし、イラストの全責任はクリエイターが負う。
という点だと思います。
4.イラストをアップロードしたことにより、会員は、イラストの一切の著作権(著作権法27条及び28条の権利を含む)を弊社に譲渡し、以後、イラストに関する著作権は弊社に帰属します。
イラストAC
(略)
7イラストをアップロードする会員は、アップロードするイラストについて全責任を負います。イラストをアップロードする会員はそのイラストに関するあらゆる権利を有していることを保証し、イラストの使用目的を問わずイラストの使用に必要とされる非独占的で無期限で取消不能、かつ世界的規模で使用料無料の無条件の使用権を取得する義務があります。
特に、このポイントが「イラストAC にAIイラストがある」問題で重要になると考えています。
なぜ「著作権と責任」が重要なのか
イラストACに投稿されているイラストの著作権は、クリエイターからACワークス株式会社へ全て譲渡されています。
ただし、投稿されたイラストに関する全責任はクリエイターが負う必要があります。
そのため、「イラストACのクリエイターは自分のイラストが著作権侵害や法的問題を引き起こさないことを確認する責任」があるとされます。
しかし、AIイラストの著作権に関しては、まだ法的な判断が確立していないため、不透明な部分があります。
現状では、AIが生成したイラストの著作権は、そのAIを開発した人または企業に帰属する可能性が高いとされています。
ただし、AIが他人の作品を元にして生成された場合や、特定の人物の肖像権を侵害するような場合、法的に問題が生じる可能性があります。
AIによって生成された作品の著作権については、今後もさまざまな問題が予想されますが、現行法で解決が困難な場合もあるため、新たな法整備が求められている状況です。
そこで、先ほど述べた「イラストACのクリエイターは自分のイラストが著作権侵害や法的問題を引き起こさないことを確認する責任」について、AIイラストは果たせていないのではないか…?と感じました。
ダウンロードユーザーが、AIイラストと知らずにそのイラストを利用して問題が発生した場合は?
AIイラストを投稿したクリエイターは責任を負えるのか?
今後、著作権の帰属に関する問題が発生する可能性があると考えられます。
ダウンロードユーザーの私の願い
今までイラストACに貢献してきたクリエイターの方々を大切にしてほしい。
一人のダウンロードユーザーとして、この1点を強く願っています。
イラストACはクリエイターが自分の作品を投稿し、収益を得ている場所です。
AIイラストが多数投稿されることで、他のクリエイターの収益が減少する可能性が考えられます。
減収によって、イラストACからオリジナルクリエイターが減ったら?
このような状況は、ダウンロードユーザーとしても避けたいです。
また、「イラストAC にAIイラスト がある」件について、クリエイターとして活躍されている方の意見をSNS等でいくつか拝見しました。
皆様それぞれに多様な意見がありました。
時間をかけて作品を作り、
その作品の著作権を譲渡して、
もし作品に問題が起きた場合はその全責任を負う。
そんなクリエイターの方々の声を大切にしていただきたいと、ダウンロードユーザーとして思いました。
イラストACに期待する解決策
- AIイラストの投稿を禁止する
- AIイラストを区別する
解決策としては、上記のどちらかだと考えられます。
フィルタリングやタグで「AIイラストと区別する」機能が追加されれば嬉しいですが、すぐには難しいのが現状です。
理由としては、現状では「このイラストはAIで生成されたか?」について自動的に正確に判断できる方法が確立されていないためです。
「AIを使って生成した」というクリエイターの自己申告制がメインとなります。
ただし、「イラストACにAIイラストをアップロードしたが、審査に落ちて投稿できなかった」という意見を少数拝見しました。
すでにイラストAC内でAIイラストへの対応が始まっている可能性があります。
他の投稿サイトはどうしてる?
Adobe Stock
Adobe Stockは、Adobe社が提供する写真・イラスト・動画などのコンテンツを提供するオンラインマーケットプレイスです。
AIイラストの投稿を許可しています。
ただし、AIイラストのタイトルには「Generative」や「AI」というキーワードを含め、AIによって生成したものであることを明記する必要があります。
Getty Images
Getty Imagesは、高品質な写真・イラスト・動画、音楽などを提供する世界的なストックメディアです。
他のストックメディアと同様に、AIイラストの投稿・販売を禁止しています。
Skeb
Skebは、Web上でイラストレーターに自分が描いてほしいイラストの依頼を出すことができるサービスです。
AIイラスト(加筆を含む)の販売を禁止しています。
また、AIイラストを検出するAIを導入しています。
AIイラストの投稿禁止を発表した後も、月間で数十枚のAIイラストを検出しているそうです。
pixiv(2023年5月2日更新)
pixivは、イラストやマンガ、小説などを投稿・閲覧するWebサイトです。
AIイラストの投稿を許可しています。
ただし、タグ機能やフィルタリング機能、ランキングでの非表示機能などの追加を検討しています。
また、先日発表された利用規約の更新が話題となっています。
詳細な表現は変更となる場合がございますが、作品制作過程に関わらず下記のような悪質な行為は利用を制限させていただく予定です。
・運営者、他のユーザー、その他の第三者になりすます行為、またはそのように誤認されるおそれがあると当社が判断する行為
・特定のクリエイターの画風・作風を模倣した作品発表を、反復・継続して行うことで、当該のクリエイターの利益を不当に害すると当社が判断する行為
・特定のクリエイターの画風・作風を模倣した作品発表を幇助するツール等を配布・販売することで、当該のクリエイターの利益を不当に害すると当社が判断する行為急激に発展している技術への調査や規定・ガイドラインの改定や機能変更が追いついておらず、皆様にはご迷惑をおかけしております。
pixivからのお知らせ
最後に
Adobeをはじめ、多くの投稿サービスは「AI生成作品の取り扱い」について何かしらの声明を出しています。
イラストACも何か声明を出したのかな?と調べたことをきっかけに、イラストAC内のAIイラストについて自分の中で考えてきました。
今の考えを書き留めておきたいと思いこの記事を作成しましたが、考えが変わる可能性もあります。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
近年注目されている技術である画像生成AIについて、初心者向けに基礎知識をまとめ、解説しています。